JR在来線で利用している方もいる『往復割引』チケット。実は、JR新幹線にも往復割引のチケットがあるんです!片道ずつ別々に購入するよりも安くチケットを購入できますので、新幹線での出張や旅行を計画しているなら是非検討したいところです。
この記事では、新幹線の往復割引チケットは正規料金よりどのくらい安くなるのか、また購入するための条件や、割引が適用される距離・区間を解説します。気になる「学割」と「往復割引」の併用についても解説していますので、是非チケット購入の参考にしてください!
料金について
この記事で紹介している料金設定は、2019年10月のJR運賃・料金改定以前の情報です。現在の料金とは若干異なりますのでご注意ください。
新幹線の「往復割引」とは?
※JR東日本公式サイトより
新幹線の往復割引とは、営業キロが601km以上ある区間の行き・帰り乗車券を同時に購入すると、行き・帰りの「乗車券」料金(運賃)がそれぞれ1割引された「往復割引乗車券」が発行される制度です。往復割引を受けるためには、行きと帰りが同じ区間、同じ経路である必要があります※。この制度は新幹線だけに適用されるわけではなく、JR全線の在来線にも適用されます。
※新下関⇔博多間を発着区間に含む場合のみ、一方が新幹線経由、一方が在来線経由でも往復乗車券が購入できます。
在来線の往復割引との違い
ただし、新幹線の往復割引には在来線普通列車の往復割引と大きな違いがあります。在来線普通列車の場合は運賃を支払う(乗車券を買う)だけで乗車できますが、新幹線の場合、乗車券だけでは乗車できません。新幹線に乗車するには、乗車券のほかに「指定席特急券」または「自由席特急券」が必要です。
新幹線の場合、往復割引が適用されるのは運賃部分のみで、指定席・自由席特急料金は定価のままです。
「運賃」とは?
運賃とは、乗車券の料金のことです。新幹線に乗車するには、乗車券に加えて「特急券」が必要です。特急券の料金を「特急料金」と呼びます。運賃と特急料金を足したものが、新幹線の料金です。
例えば、東海道新幹線の東京→広島間の新幹線(のぞみ)指定席に乗車する場合、片道運賃は11,660円ですが、特急料金は7,420円なので、合計で片道19,080円かかります。
このとき、東京⇔広島の往復乗車券を購入すると、乗車券の料金11,660円が行き・帰りとも1割引されて、片道運賃10,490円となります。特急券の料金7,420円は割引されないので、往復の料金は合計で35,820円(片道17,910円)。通常よりも片道あたり1,170円安くなります。
適用される区間
往復割引の適用を受けるためには、片道の営業キロが601km以上ある必要があります。
片道601km以上と言っても分かりにくいと思いますので、どの区間に適用されるのか、路線ごとに表でまとめてみました。
表は横にスクロールできるようになっています。それぞれの表で、降車駅(乗車駅)ー乗車駅(降車駅)を計算して601km以上になれば、その区間では往復割引が適用されます。(計算する場合は同じ横列の中で計算してください)
東海道~山陽~九州新幹線の場合
東海道・山陽・九州新幹線区間の営業キロ
乗車駅 | 東京 | 品川 | 新横浜 | 小田原 | 熱海 | 三島 | 新富士 | 静岡 | 掛川 | 浜松 | 豊橋 | 三河安城 | 名古屋 | 岐阜羽島 | 米原 | 京都 | 新大阪 | 新神戸 | 西明石 | 姫路 | 相生 | 岡山 | 新倉敷 | 福山 | 新尾道 | 三原 | 東広島 | 広島 | 新岩国 | 徳山 | 新山口 | 厚狭 | 新下関 | 小倉 | 博多 | 新鳥栖 | 久留米 | 筑後船小屋 | 新大牟田 | 新玉名 | 熊本 | 新八代 | 新水俣 | 出水 | 川内 | 鹿児島中央 | 乗車駅 |
東京 | 0 | 6.8 | 28.8 | 83.9 | 104.6 | 120.7 | 146.2 | 180.2 | 229.3 | 257.1 | 293.6 | 336.3 | 366.0 | 396.3 | 445.9 | 513.6 | 552.6 | 589.5 | 612.3 | 644.3 | 665.0 | 732.9 | 758.1 | 791.2 | 811.3 | 822.8 | 862.4 | 894.2 | 935.6 | 987.1 | 1031.4 | 1066.5 | 1093.1 | 1112.1 | 1179.3 | 1207.9 | 1215.0 | 1230.8 | 1248.6 | 1269.7 | 1297.7 | 1330.6 | 1373.4 | 1389.4 | 1422.1 | 1468.2 | 東京 |
新大阪 | 552.6 | 545.8 | 523.8 | 468.7 | 448.0 | 431.9 | 406.4 | 372.4 | 323.3 | 295.5 | 259.0 | 216.3 | 186.6 | 156.3 | 106.7 | 39.0 | 0 | 36.9 | 59.7 | 87.9 | 108.6 | 176.5 | 201.7 | 234.8 | 254.9 | 266.4 | 306.0 | 337.8 | 379.2 | 426.3 | 470.6 | 505.7 | 532.3 | 551.3 | 618.5 | 新大阪 | |||||||||||
博多 | 1179.3 | 618.5 | 585.4 | 562.6 | 530.6 | 509.9 | 442.0 | 416.8 | 383.7 | 363.6 | 352.1 | 312.5 | 280.7 | 239.3 | 192.2 | 147.9 | 112.8 | 86.2 | 67.2 | 0 | 28.6 | 35.7 | 51.5 | 69.3 | 90.4 | 118.4 | 151.3 | 194.1 | 210.1 | 242.8 | 288.9 | 博多 | |||||||||||||||
鹿児島中央 | 1468.2 | 915.6 | 605.8 | 574.0 | 528.2 | 481.1 | 436.8 | 401.7 | 375.1 | 356.1 | 288.9 | 260.3 | 253.2 | 237.4 | 219.6 | 198.5 | 170.5 | 137.6 | 94.8 | 78.8 | 46.1 | 0 | 鹿児島中央 |
東海道・山陽・九州新幹線の主な駅を乗車駅とした場合の往復割引適用区間は以下の通りです。
東京駅から乗車:西明石駅より先の区間
新大阪駅から乗車:(上り)なし・(下り)博多駅より先の区間
博多駅から乗車:(上り)新大阪駅より先の区間・(下り)なし
鹿児島中央駅から乗車:東広島駅より先の区間
※東京⇔鹿児島中央間の直通新幹線はありません。直通の新幹線が運行している最長の区間は東京⇔博多、鹿児島中央⇔新大阪間です。
東北・山形・秋田・北海道新幹線の場合
東北・山形・秋田・北海道新幹線の営業キロ
乗車駅 | 東京 | 上野 | 大宮 | 小山 | 宇都宮 | 那須 塩原 |
新白河 | 郡山 | 福島 | 米沢 | 高畠 | 赤湯 | かみのやま温泉 | 山形 | 天童 | さくらんぼ温泉 | 村山 | 大石田 | 新庄 | 白石 蔵王 |
仙台 | 古川 | くりこま高原 | 一ノ関 | 水沢 江刺 |
北上 | 新 花巻 |
盛岡 | 雫石 | 田沢湖 | 角館 | 大曲 | 秋田 | いわて沼宮内 | 二戸 | 八戸 | 七戸十和田 | 新青森 | 奥津軽いまべつ | 木古内 | 新函館北斗 | 乗車駅 |
東京 | 0 | 3.6 | 30.3 | 80.6 | 109.5 | 157.8 | 185.4 | 226.7 | 272.8 | 312.9 | 322.7 | 328.9 | 347.8 | 359.9 | 373.2 | 380.9 | 386.3 | 399.7 | 421.4 | 306.8 | 351.8 | 395.0 | 416.2 | 445.1 | 470.1 | 487.5 | 500.0 | 535.3 | 551.3 | 575.4 | 594.1 | 601.9 | 662.6 | 566.4 | 601.0 | 631.9 | 668.0 | 713.7 | 752.2 | 827.0 | 862.5 | 東京 |
山形 | 359.9 | 0 | 61.5 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 山形 | ||||||||||||||||
秋田 | 662.6 | 659.0 | 632.3 | 582.0 | 553.1 | 504.8 | 477.2 | 435.9 | 389.8 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 355.8 | 310.8 | 267.6 | 246.4 | 217.5 | 192.5 | 175.1 | 162.6 | 127.3 | 111.3 | 87.2 | 68.5 | 51.7 | 0 | - | - | - | - | - | - | - | - | 秋田 |
新青森 | 713.7 | 710.1 | 683.4 | 633.1 | 604.2 | 555.9 | 528.3 | 487.0 | 440.9 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 406.9 | 361.9 | 318.7 | 297.5 | 268.6 | 243.6 | 226.2 | 213.7 | 178.4 | - | - | - | - | - | 147.3 | 112.7 | 81.8 | 45.7 | 0 | 38.5 | 113.3 | 148.8 | 新青森 |
新函館北斗 | 862.5 | 858.9 | 832.2 | 781.9 | 753.0 | 704.7 | 677.1 | 635.8 | 589.7 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | 555.7 | 510.7 | 467.5 | 446.3 | 417.4 | 392.4 | 375.0 | 362.5 | 327.2 | - | - | - | - | - | 296.1 | 261.5 | 230.6 | 194.5 | 148.8 | 110.3 | 35.5 | 0 | 新函館北斗 |
東北・山形・秋田・北海道新幹線の主な駅を乗車駅とした場合の往復割引適用区間は以下の通りです。
東京駅から乗車:(山形・新庄方面)なし,(秋田方面)大曲駅より先の区間,(新青森・函館方面)二戸駅より先の区間
山形駅から乗車:なし
秋田駅から乗車:大宮から先の区間
新青森駅から乗車:(東京方面)宇都宮より先の区間,(函館方面)なし
新函館北斗駅から乗車:(東京方面)郡山より先の区間
上越・北陸新幹線の場合
上越新幹線では、最長の東京⇔新潟でも営業キロは333.9kmなので、往復割引は適用されません。
北陸新幹線でも、最長※の東京⇔金沢でも営業キロは450.5kmなので、往復割引は適用されません。(※2019年5月時点)
買い方は?
往復割引乗車券は、JRの窓口または指定席券売機で購入できます。
「みどりの窓口」などJRの窓口で購入する場合は、「希望する区間の乗車券を往復で購入したい」と伝えてください。片道601km以上の区間であれば、往復割引乗車券が発行されます。(601km未満の場合は、往復乗車券が発行される)
指定席券売機で購入する場合は、利用する新幹線の路線、希望する区間を選び、「往復購入」を選択します。
途中下車したいときの買い方
往復割引で新幹線に乗車するときは、基本的に往復割引乗車券2枚(行き・帰り)と特急券2枚(行き・帰り)の合計4枚のチケットが必要です。もし途中下車をする場合は特急券を分割して購入することになるので、特急券の枚数はさらに増えます。
途中下車とは?
途中下車とは、乗車券の区間内の駅でいったん改札の外に出ることです。片道の営業キロが101キロ以上ある乗車券では、途中下車ができる決まりになっています。
一方、特急券には途中下車の制度がありません。そこで、往復割引乗車券の区間内の駅で途中下車する予定があるなら、特急券を分割して購入する必要があります。(「乗車駅→途中下車する駅」の特急券と、「途中下車する駅→最終目的地の駅」までの特急券)
券売機の操作に自信がない場合は、「みどりの窓口」などJRの窓口で購入するほうが確実です。窓口は混雑する場合がありますので、早めに駅に到着するようにしてください。
ネット予約でも購入可能
往復割引乗車券は、JR各社の公式ネット予約サイトでも購入できますが、ネット購入の場合は、JR窓口・指定席券売機で購入する場合と料金、条件が異なる場合があるので注意してください。
新幹線チケットの公式ネット予約サイトは以下5つです。
- スマートEX(JR東海)
- エクスプレス予約(JR東海)
- えきねっと(JR東日本・JR北海道)
- e5489(JR西日本)
- JR九州インターネット列車予約
このうち、えきねっと、e5489(いいごよやく)、JR九州インターネット列車予約で往復割引乗車券を購入する場合は、JR窓口・指定席券売機で購入する場合と料金も条件も変わりません。ネット予約した後に、JRの窓口か指定席券売機できっぷを受け取ってください。
一方、スマートEXとEX予約で購入できる往復割引きっぷは、通常と料金や条件が異なります。
スマートEX・EX予約の場合
スマートEX、エクスプレス予約(EX予約)では、乗車券のみ購入することはできないので、通常の往復割引乗車券を購入することはできません。スマートEXとEX予約では、「スマートEXサービス(往復割引)」、「EX予約サービス(往復割引)」という専用の往復割引きっぷが購入できます。
「スマートEXサービス(往復割引)」、「EX予約サービス(往復割引)」は、乗車券と特急券が一体になったチケットで、料金は往復割引乗車券+特急券を購入するよりも安い設定になっています。料金についてはこちら
乗車券と特急券が一体になっているため、途中下車はできない点に注意してください。また、通常の往復割引乗車券とは有効期限も異なります。有効期限について詳しくはこちら
料金の計算方法
往復割引では、片道あたりの運賃(乗車券の料金)が正規料金の1割引(10%引き)となります。
具体的な計算方法は以下の通りです。
① 片道の正規運賃から10%を引く
② ①の料金から端数(1円単位)を切り捨てる
③ ②の料金×2=往復の運賃
例として、東海道・山陽新幹線東京〜西明石間(片道612.3km)の乗車券を往復割引で購入するといくらになるか計算してみましょう。
東京⇔西明石の運賃(片道)は9,610円、特急料金は6,330円で、料金は15,940円(往復31,880円)です。
往復割引が適用されると運賃の9,610円が10%引きになるので、9,610円×0.9=8,649円となります。1円単位の端数は切り捨てて、8,640円×2=17,280円が往復割引が適用された往復の運賃です。
この17,280円に往復の特急料金(6,330円×2=12,660円)を足した29,940円(片道14,970円)が、往復割引の適用された東京⇔西明石間の料金となります。
東京⇔西明石の往復割引料金
9,610円×0.9=8,649円(片道) 8,640円(端数切捨て)×2=17,280円(往復) 17,280+(6,330円×2)=29,940円(往復)
東京⇔西明石間のきっぷを正規運賃で片道ずつ購入した場合は、往復で31,880円なので、往復割引の場合は1,940円割引になります。
その他、主な区間の正規料金と、往復割引で購入した料金を比較してみました。
主な区間の「往復割引料金」と正規料金の差額
路線 | 区間 | 正規料金(往復) | 往復割引料金(往復) | 差額 |
東海道・山陽新幹線(のぞみ) | 東京⇔西明石 | 31,880円 | 29,940円 | -1,940円 |
東海道・山陽新幹線(のぞみ) | 東京⇔博多 | 45,900円 | 43,120円 | -2,780円 |
東北新幹線(はやぶさ) | 東京⇔八戸 | 32,580円 | 30,640円 | -1,940円 |
東北・北海道新幹線(はやぶさ) | 東京⇔新函館北斗 | 45,380円 | 43,060円 | -2,320円 |
秋田新幹線(こまち) | 東京⇔大曲 | 34,260円 | 32,320円 | -1,940円 |
秋田新幹線(こまち) | 東京⇔秋田 | 35,600円 | 33,620円 | -1,980円 |
※通常期・のぞみ指定席利用の場合
区間にもよりますが、往復割引を利用すると1,900~2,700円程度、割引率にすると6%程度(運賃+特急料金に対して)の割引が受けられます。
スマートEX・EX予約の往復割引料金
東海道新幹線、山陽新幹線のネット予約サイト「スマートEX」と「エクスプレス予約(EX予約)」で購入できる往復割引きっぷは、通常の往復割引乗車券+特急券と料金が異なります。
スマートEX・EX予約の往復割引料金(往復)
区間 | 東京⇔岡山 | 東京⇔広島 | 東京⇔博多 | 新大阪⇔博多 |
往復割引乗車券+特急券 | 32,580円 | 35,820円 | 43,120円 | 28,680円 |
スマートEX(往復割引) | 32,180円 -400円 |
35,420円 -400円 |
42,720円 -400円 |
28,280円 -400円 |
EX予約(往復割引) | 29,520円 -3,060円 |
32,580円 -3,240円 |
39,460円 -3,660円 |
24,140円 -4,540円 |
※のぞみ・みずほ指定席利用の場合(通常期)
往復割引乗車券+特急券の料金と比較して、スマートEX(往復割引)は一律400円引きですが、EX予約(往復割引)は3,000~4,000円程度割引とかなりお得になります。ただし、EX予約は年会費が1,000円必要です。
※スマートEX・EX予約の往復割引チケットでは途中下車ができません。
往復割引のメリット
往復割引の割引率は6%程度と、長い区間を利用する割にはそれほど大きな割引ではありません。
でも往復割引には、以下のようなメリットがあります。
往復割引のメリットは?
- 乗車直前でも購入できる
- 他の割引サービスと組み合わせて使える
- 乗車券の有効期限が長い
乗車直前でも購入できる
新幹線の最安値チケット、旅行代理店の「日帰り新幹線ツアー」や「新幹線ホテルパック」は料金が安い反面、5日前~前日まで(旅行代理店によって異なります)に予約しておく必要がありますが、往復割引乗車券は乗車直前でも購入することができます。
JR窓口や指定席券売機で乗車券と特急券を購入し、座席指定をする(指定席特急券の場合)数分の時間だけ見込んでおけば、乗車直前に購入しても間に合います。
他の割引と一緒に使える
往復割引は、以下3つの割引サービスと組み合わせて使えます。
- 学割
- eきっぷ・e特急券(ネット予約)
- 乗り継ぎ割引
学割と併用できる
往復割引は、学割(学生割引乗車券)と併用することができます。
JRの学割は、「学生が切符を購入する際に利用区間の片道営業キロが101km以上ある場合、運賃が20%引きになる」という割引制度で、在来線にも新幹線にも適用されます。
往復割引と学割を併用するには、「学割証※」を用意したうえで、JRの窓口できっぷを購入してください。指定席券売機では学生割引乗車券は購入できません。※学生証とは別のものです。
往復割引と学割を併用すると、往復割引で1割引になった運賃がさらに学割で2割引され、トータルでは運賃が28%割引になります。
eきっぷ・e特急券と併用できる
往復割引乗車券は、eきっぷやe特急券と併用できます。
「eきっぷ」とは、JR西日本・JR九州ネット予約限定の割引特急券です。公式ネット予約サイトの「e5489(いいごよやく)」または「JR九州インターネット列車予約」で購入できます。(J-WESTカード会員またはJQカード会員だけが購入できる)
「e特急券」は、JR東海ネット予約限定の割引特急券です。公式ネット予約サイト「エクスプレス予約(EX予約)」で購入できます。(EX予約の年会費は1,000円)
「eきっぷ」「e特急券」とも割引率は共通で、通常の特急券よりも片道数百円~2,000円程度安い料金で購入できます。
例えば、東京⇔広島間(営業キロ894.2)のきっぷは、運賃が通常11,660円、特急料金が通常7,420円で合計19,080円(往復38,160円)ですが、往復割引を受けると運賃が片道10,490円、e特急券を購入すると特急料金が片道6,000円で合計16,490円(往復32,980円)になります。(のぞみ指定席)
往復割引とe特急券を組み合わせると、片道2,590円、往復で5,180円も安くなります。およそ14%の割引率になるので、EX予約会員、e5489のJ-WEST角会員、JR九州インターネット列車予約のJQカード会員の方にはおすすめです。
※EX予約にはEX予約専用の往復割引きっぷ「EX予約(往復割引)」もあります。EX予約(往復割引)の料金は往復割引とeきっぷを組み合わせた場合よりも安いので、EX予約の会員であればこちらを利用したほうがお得です。
ただし、EX予約(往復割引)では途中下車ができません。また、在来線と新幹線を乗り継ぐ場合、区間によっては「e特急券+往復割引乗車券」の方が安くなる場合があります。次の項目を参照してください。
乗り継ぎ割引と併用できる
往復割引乗車券は、乗り継ぎ割引とも併用できます。
新幹線の乗り継ぎ割引とは、新幹線と在来線の特急・急行列車を乗り継ぐと、在来線の特急・急行料金、指定席料金が半額になる制度です。
新幹線⇔在来線間の乗り継ぎ割引が適用されるのは、一部の駅で乗り継いだ場合に限ります。また、あらかじめ乗車券および両方の列車の特急券、急行券、指定席券などを一緒に購入する必要があります。
詳しくはこちら のページを参考にしてください(JR東日本公式サイト)
有効期限が長い
往復割引乗車券のきっぷの有効期限は、通常のきっぷより長く設定されています。
そもそも、JRの乗車券・特急券にはすべて有効期限が設定されています。普段在来線に乗るときは、きっぷ(乗車券)を買ったら当然のようにその日のうちに使い切るので、有効期限を意識することはあまりないかもしれません。
実は、営業キロが100キロまでの乗車券の有効期限は1日、つまり当日のみ有効と決められています。
でも、営業キロが101キロ以上ある乗車券の有効期限は距離に応じて長くなり、以下のように設定されています。
片道乗車券の有効期限
営業キロ | 200kmまで | 400kmまで | 600kmまで | 800kmまで | 1,000kmまで | 1,200kmまで | 1,400kmまで | 1,600kmまで | 1,800kmまで |
有効期限 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 | 8日 | 9日 | 10日 |
往復乗車券を購入した場合の有効日数は、片道乗車券の2倍で、以下の通りです。
往復乗車券の有効期限
営業キロ | 200kmまで | 400kmまで | 600kmまで | 800kmまで | 1,000kmまで | 1,200kmまで | 1,400kmまで | 1,600kmまで | 1,800kmまで |
有効期限 | 4日 | 6日 | 8日 | 10日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
区間の例 | 東京⇔静岡 | 東京⇔名古屋 | 東京⇔新大阪 | 東京⇔岡山 | 東京⇔広島 | 東京⇔博多 | 東京⇔熊本 | 東京⇔鹿児島中央 |
例えば、東京⇔博多間の往復割引乗車券を購入した場合、行きの乗車券は7日以内、帰りの乗車券は14日以内に使えばいいということになります。帰りの日程がはっきり決まっていなくても、乗車券のみ通常よりも安い料金で購入しておけるのでお得ですね。
特急券の有効期限
指定席特急券の有効期限は予約した当日、自由席特急券の有効期限は購入当日限りです。
帰りの日程が決まっていない場合の買い方
往復割引の適用を受けるには、「乗車券」を往復で購入する必要がありますが、同時に行きと帰りの両方の特急券を購入する必要はありません。
帰りの日時が決まっていない場合は、「往復割引乗車券+行きの特急券のみ」の3枚を購入しましょう。この際、乗車券の有効期間を必ず確認しておくようにしてください。
往路(行き)の改札を通過する際には、行きの乗車券と行きの特急券だけを使用して、目的地に着いた時点では手元に帰りの「乗車券」のみが残ることになります。帰りに乗る新幹線の日付や時間が決まった時点で、帰りの特急券を購入しましょう。こうすれば、帰りの特急券を適当な日時に購入して、後に「予約変更」手続きをする必要がなくなります。
予約変更は1回だけなら無料ですが、2回目以降になると手数料を取られますので、帰りの日程が決定していない場合はこの方法でチケットを購入することをおすすめします。
▼新幹線の「乗車券」と「特急券」のイメージ
また、往復割引乗車券そのものは新幹線に限定した切符ではなく、新幹線以外の在来線でも使えるので、そもそも新幹線を使うか確定していない場合でも購入しておけます。例えば、新幹線ではなく、特急列車の特急券を買えば「往復割引乗車券+特急列車の特急券」で特急列車に乗ることができます。
スマートEXとEX予約の有効期限は長い
「スマートEXサービス(往復割引)」と「EX予約サービス(往復割引)」を予約する場合、復路のきっぷは最大1カ月先まで予約可能なので、往復割引の有効期限を実質1ヶ月まで伸ばすことができます。駅の窓口で購入する乗車券は、最も長い距離でさえ18日間、最短で10日間が有効期限ですので、スマートEXの「有効期限:実質1ヶ月」という設定は、長い旅行や出張などの際には助かりますね。
また、行き・帰りのきっぷを別々に受け取ることもできるので、帰りの乗車日当日に受け取るようにすれば、帰りのきっぷをなくしてしまった…なんてことも避けられます。
往復割引は本当に安い?他の割引サービスと比較!
往復割引は単体で利用すると6%程度、学割やe特急券などと組み合わせることで10%以上の割引が受けられますが、往復割引は新幹線の最安チケットではありません。
実際に、往復割引が適用される「東京⇔広島」区間を例に料金を比較してみました。往復割引乗車券を利用した料金と、
- 金券ショップ
- スマートEX
- エクスプレス予約(EX予約)
- JR公式の早特商品
- 新幹線ホテルパック
の料金を比較してみました。
予約方法 | 往復料金 | 割引額 |
通常料金(のぞみ指定席) | 38,160円 | 0円 |
スマートEX | 37,760円 | -400円 |
自由席 | 36,080円 | -2,080円 |
往復割引乗車券+特急券 | 35,820円 | -2,340円 |
スマートEXサービス(往復割引) | 35,420円 | -2,740円 |
指定席回数券 | 35,400円(1枚あたり) | -2,760円 |
金券ショップ回数券 | 35,380円~ | -2,780円~ |
エクスプレス予約 | 35,320円 | -2,840円 |
往復割引乗車券+e特急券 | 32,980円 | -5,180円 |
エクスプレス予約サービス(往復割引) | 32,580円 | -5,580円 |
EX早特 | 31,800円 | -6,360円 |
EX予約(土休日) | 31,000円 | -7,160円 |
往復割引乗車券+学割乗車券+特急券 | 30,640円 | -7,520円 |
往復割引乗車券+学割乗車券+e特急券 | 27,870円 | -10,290円 |
EX早特21 | 28,000円 | -10,160円 |
新幹線ホテルパック | 23,700円~ (ホテル代込み) |
-17,960円 |
東京⇔広島間を往復する場合、往復割引では最安でも27,870円(学割、e特急券と組み合わせた場合)ですが、最安値の新幹線ホテルパックなら往復の新幹線チケットにホテルもついて23,700円~。
通常料金と比較すれば38,160円ー23,700円でなんと17,960円も割引です。
ホテルパックはほかの区間でも利用できるので、目的地で宿泊する予定があるならまずチェックしてみることをおすすめします。
当サイトでは、乗車する路線や区間ごとに利用できる格安チケットをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
※ホテルパックのネット予約期限は4日前~前日までです(代理店により異なる)
まとめ
往復割引乗車券は、新幹線の最安値チケットではありませんが、
- 乗車直前でも購入できる
- 他の割引と併用できる
- 有効期限が長い
というメリットがあります。
特に、乗車直前でも購入できるのは大きなメリットです。新幹線の最安値チケット、日帰り新幹線ツアーやホテルパックの予約期限は5日前~前日ですが、往復割引ならe特急券や学割と組み合わせれば当日購入でもかなり大きい割引が受けられます。状況に合わせて使い分けましょう。
当サイトでは、新幹線の回数券やネット予約も含め、乗車する路線や区間ごとに利用できる格安チケットをまとめています。区間ごとの最安値チケットも毎月更新していますので、ぜひ参考にしてください!
料金について
この記事で紹介している料金設定は、2019年10月のJR運賃・料金改定以前の情報です。現在の料金とは若干異なりますのでご注意ください。